精神科転職3年後の本音|変わったこと・変わらなかったこと、正直に話します——迷っているあなたへ


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「精神科に転職したら、自分が変わってしまうんじゃないか。」

この記事を読み終わったら、その不安が少し軽くなると思います。

精神科に転職して3年が経ちました。変わったことはあります。でも、変わらなかったこともあります。そしてその両方が、実はあなたにとって大切な意味を持つということを、正直にお伝えしたいと思います。

この記事を読んで「精神科、ちょっと気になるな」と思ったなら、まず話を聞いてみるだけでも大丈夫です。求人票には載っていない病棟の雰囲気や実際の働き方も、エージェントなら教えてもらえます。

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私の看護観はこう変わってきた

精神科転職を語る前に、少しだけ私のキャリアに触れさせてください。

介護福祉士として老健で6年、その後准看・正看護師学校を経て、急性期病院、そして現在の精神科へ。このキャリアを振り返ると、看護観が大きく3段階で変化してきたと感じます。

介護時代は「生活を支える」でした。食べる、排泄する、入浴する。病気よりもその人の生活を見る視点が中心でした。

急性期時代は「命を守る」でした。バイタル、検査データ、急変対応。とにかく病気と戦う。スピードと正確性が求められる世界でした。

そして精神科では「人を理解する」が中心になりました。知識や技術だけでは解決できない場面が増えました。すぐに良くならない、指示が通らない、理屈だけでは動かない。そんな患者さんと向き合う日々の中で、関係性・信頼・待つ力・対話の大切さを学んでいます。

急性期が「短距離走の選手」なら、精神科は「長距離走の伴走者」だと感じます。選手は自分が走る。伴走者は横に並んで走り続ける。どちらも走者を支えますが、求められるものが根本的に違うのです。

精神科に来て一番変わったこと——傾聴だけでは通用しなかった

転職前の私は、傾聴と寄り添いがケアの中心でした。介護時代から培ってきた「相手の気持ちを受け入れる」スタンスは、急性期でも精神科でも大切にしてきたつもりです。でも精神科に来て気づいたのです。傾聴・寄り添いだけではやっていけない場面があると。

境界性パーソナリティ障害の患者さんとの関わりが、最初の壁でした。

入職当初は正しい対応の仕方がわからず、とにかく話を聞くことにしていました。最初は患者さんも喜んでくれて、これでいいのだと思っていました。しかしだんだんとエスカレートしてきました。「あなたにだけ話を聞いてほしい。ほかの看護師では嫌」と言ってくるようになり、夜勤中の深夜2時にナースステーションに話をしにくることも。自分もしんどいし、患者さんにとってもよくない状況になっていました。

先輩に助けを求めると、「リミットセッティング(限界設定・境界設定)が必要だ」と教えてもらいました。私はその言葉を聞いたのは初めてでした。

受け入れられることと受け入れられないことを設定する。患者さんと話し合ったうえで、枠組み=ルールを明確にする。具体的にはその患者さんに「話は聞きますが、今はほかの患者さんの対応もしなくてはならないので、5分だけです」と、最初に取り決めをすることにしました。はじめは「えー、なんで?」と不満げでしたが、説明すると何とか納得してくれました。それでも複数回同じやり取りをしましたが(笑)。

認知症ケアにはなかった「治療的な距離感」という概念を、精神科に来て初めて学びました。

傾聴は大切です。でも精神科では、傾聴することと、適切な距離を保つことは、矛盾しません。むしろ両方が揃って初めて、本当の意味で患者さんのためになるのだと気づきました。

毅然とした対応が正解だった日・失敗した日

知的障害と統合失調症を併発している患者さんのことを、今でもよく思い出します。

その方は何度も詰所に来ては頓服薬を求めてきました。飲んだばかりでも、窓を叩き、ドアを叩き、しつこく要求してくる。最初は症状を軽く確認してそのまま応じていた私に、先輩がアドバイスをくれました。「ああいった患者さんは、なにかあると、必要がないのに薬を飲まずにいられなくなってる。でもそれは、薬の副作用を引き起こすことになるし、依存性を強めてしまう。それは患者さんにとっていいことかな?時には、訴えの内容を聞いたうえで、断ることも必要だよ。」と。

ある日、毅然とした態度で「今は飲むべきではない」と伝えました。それでもくい下がってきましたが、私が断り続けると、やがて去っていきました。

でも私はそれだけでは終わらせたくなくて、「なぜ頓服を飲みたかったのか」を聞きました。他の患者さんとのいざこざでイライラしていたと教えてくれました。しばらく話を聞くと、スッキリした顔で「ありがとなー」と去っていきました。

それ以来、すぐに頓服を渡すのではなく、まず隠れた理由を聞くようにしています。

一方で、失敗もありました。

認知症の患者さんが「ご飯はまだか!」と詰め寄ってきたとき、精神科モードのままで「もう食べました。同じことを何度も言っていますよ」と応じてしまったのです。本来なら「今準備していますから、あちらでお茶でも飲みながら待ちましょうね」と、気持ちを受け止めながら注意を逸らすべきでした。

後で深く反省しました。良くも悪くも、精神科に慣れてきたということかもしれません。

ここで少し、あなた自身のことを考えてみてください。

介護や認知症ケアの経験がある方は、精神科に来てからも大きな武器を持っています。

患者さんの話を待てる。沈黙に耐えられる。感情を受け止めていく。これは認知症ケアと精神科ケアに共通する、とても大切な力です。

私自身、老健での認知症ケア時代に身につけた傾聴する力は、精神科に来てからも確実に活きています。認知症ケアでは「傾聴から入る」ことが中心でした。でも精神科では「傾聴しながら精神状態を評価していく」にシフトしていきました。

傾聴する力はそのままに、そこに「見極める力」が加わった感覚です。

急性期出身の方にも武器があります。身体的な異変への気づき、バイタルの読み方、リスク管理の感覚。精神科の患者さんは身体合併症を抱えていることも多く、急性期で鍛えた観察眼は現場で確実に頼りにされます。

あなたがこれまで積み上げてきたものは、精神科に来ても無駄になりません。むしろ、それがあなただけの強みになります。

変わらなかったこと——それが私の看護の根っこ

「人間はどのような状態にあっても、その人らしく生きる権利がある」

これは介護の世界に入った頃から、私の中にある考えです。精神科に来ても、急性期を経験しても、この視点だけは変わりませんでした。

今は少しずつ、使い分けができるようになってきたと感じています。認知症の患者さんには介護時代から培った関わり方を中心に。精神科の患者さんには、経験と学びから身につけた毅然とした対応を。どちらも「その人らしく生きることを支えたい」という根っこは同じです。

そして最近、一番面白いと感じているのが、統合失調症と認知症を併発している患者さんへの関わりです。この症状は認知症からくるのか、統合失調症からくるのか、それともミックスしているのか。答えが簡単には出ない分、考えることが尽きません。3年前の自分には絶対になかった視点です。

今、精神科転職を迷っているあなたへ

今、精神科転職を迷っているあなたへ伝えたいことがあります。

転職すれば、変わることがあります。でもそれは、あなたが新しい環境に適応できた証拠です。その変化が自分にとって好ましいものかどうか、それはあなた自身の心が決めればいい。

転職しても、変わらないものもあります。それはあなたの看護の根幹です。どんな環境に行っても消えなかったものは、本物です。精神科はむしろ、そのことを再確認させてくれる場所だと私は思っています。

あなたは看護師である前に、一人の人間です。どこにいても、自分らしくいることを大切にしてほしい。

それでも迷っているなら、飛び込んでみてください。行動しないとわからないことが、必ずあります。

迷っているなら、まず一歩だけ動いてみてください。情報を集めるだけでも、気持ちが整理されることがあります。一人で抱え込まずに、プロに話を聞いてもらうことから始めてみてください。

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