精神科看護師は患者さんとゆっくり関われる?【転職して気づいた理想と現実】


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私が勤めているのは、精神科の急性期病棟です(スーパー救急ではありません)。結論から言うと、ゆっくり関われる時間は確かにあります。でも、思っていたより忙しいのも事実です。

看護実習で見た精神科病棟は、ゆったりとした雰囲気でした。患者さんとじっくり話せる、そのイメージを持って転職しました。この記事では、その現実と、それでも精神科を選んでよかった理由を正直に書きます。

もし精神科転職を具体的に考えているなら、まずはエージェントに相談してみるといいと思います。求人情報には載っていない病院の雰囲気を教えてもらえたり、働き方も相談できます。

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転職前のイメージ——実習で見た「ゆったりした精神科」

准看護師学校時代と正看護師学校時代、2度の実習で精神科病棟を経験しました。どちらも、病棟はゆったりとした雰囲気で、患者さんとじっくり話す時間がありました。

「精神科はゆっくり関われる」というイメージは、この実習体験から来ていました。

でも今思うと、学生というのはある意味で特権的な立場です。業務がないから、患者さんとじっくり向き合うことができる。実は忙しい現場だったけれど、それに気づいていなかっただけかもしれません。

転職してわかった現実——思っていたより忙しい理由

精神科の「介護化・高齢化」が進んでいる

転職して最初に感じたのは、「思っていたより身体介護が多い」ということでした。

先輩たちはよくこう言います。「昔はこんなんじゃなかった」と。私の病院でも、認知症患者さんの多くは70代後半から80代。90代の方もいます。精神科病棟が、そのまま高齢者病棟になっていくような感覚があります。

認知症高齢者のケアは、とにかく人手と時間がかかります。徘徊への対応、同じ話の繰り返し、易怒的になる患者さんへの対応、転倒リスクがあるための見守り、転倒した場合の医師・家族への報告と事故報告書の記録、食事介助、排泄介助、おむつ交換、入浴介助——これらが日常的に発生します。

昔の精神科は、ほとんどが精神疾患の患者さんで、ADL的には自立していたため、身体介護はほとんどなかったと聞きます。でも今は、身体介護に時間をとられる。その分、ADLが自立している精神疾患の患者さんと関わる時間が削られていく。これが現実です。

身体合併症への対応も増えている

認知症高齢者は肺炎を起こしやすく、他の身体疾患を合併していることも多い。血糖測定や点滴など、医療処置が必要な患者さんも増えています。

急性期ほどではありませんが、精神科だから医療処置がない、とは言い切れない状況になっています。

精神科に来る認知症患者さんの現実【ジレンマも正直に話す】

精神科に来る認知症患者さんは、重度の方が多いです。

施設や在宅で「手が負えない」と判断された方が来ることがほとんどです。暴言・暴力・夜間せん妄・介護拒否・服薬拒否・易怒性——そういった症状が強く、施設や在宅では対応しきれなくなった方です。穏やかな認知症の方は、施設や在宅でも生活できるからです。

こうした重度の認知症患者さんに対して、向精神薬や認知症薬を使うことになります。薬で穏やかにはなりますが、意識レベルが落ちてぼんやりする。足腰が弱い患者さんが多いため、転倒しやすくなる。転倒すれば骨折や受傷につながり、ADLが低下する。廃用症候群や肺炎を繰り返し、最終的には看取りという転帰をたどることが少なくありません。

私はかつて老健でユニットケアを経験してきました。ユニットケアは、少人数・個別ケア・生活環境重視という認知症ケアの考え方です。その経験があるからこそ、正直なジレンマを感じています。精神科病院は、集団ケア・大人数・症状を治すことを重視する環境です。認知症ケアに本来適した場所とは言えないかもしれない、と。

だからこそ私は、入院直後から退院支援を意識するようにしています。どのような状態になれば元の施設に戻れるか。戻れないとしたら、どのような施設が退院先として適切か。在宅に戻るなら、どのようなサービスの導入が必要か。PSWと協働しながら、早い段階から動くようにしています。

退院支援の視点がなければ、気づかないうちに廃用が進んでしまうことがある。自分のキャリアがあるからこそ、違うアプローチができると思っています。

それでも患者さんと関われる——「時間は作るもの」

忙しい現実を書いてきましたが、患者さんと全く関われないわけではありません。一般科急性期と比べると、確実に関われる時間は多いです。

私が心がけているのは、担当患者さんには必ず声をかけるということです。その日の受け持ちから外れていても、どこかで必ず話しかけるようにしています。

きっかけはシンプルです。「何か困っていることはないですか?」この一言だけでいい。

すると患者さんはいろいろ話してくれます。

「食事はおかゆより普通のご飯がいい」「コーヒー作ってくれる?」「売店でお菓子買ってきてくれる?」「トイレ連れて行って。ほかの看護師さんは忙しそうで言い出しにくくて」「どうして家に帰れないの?いつまでここにいればいいの?」——そう言いながら泣き出す患者さんもいます。「娘を呼んでくれ」「退院させろ」「この病院は何もしてくれない」「PSW呼んで」。

多種多様です。そこから要求に応えて動き、「ああ、話しかけるんじゃなかった」と苦笑することもあります(笑)。

でも、担当患者さんの要求に応えられたとき、喜んでもらえたとき、不安が解消されたとき、やりがいを感じます。

「時間は作るもの」だと痛感しています。

戸惑いが消えた理由——自分の経験が活きた

転職して最初は戸惑いもありました。実習で見た精神科と違う、と。

でも失望はしませんでした。なぜなら、認知症ケアは老健で経験してきた得意分野だったからです。身体合併症や点滴は、急性期で培った経験が活きる場面でした。

「思っていたのとは若干違うけど、自分のこれまでの経験が活かせる」——それが正直な気持ちでした。

大切なのは「自分が置かれた環境がどうか」ではなく、「たとえ思っていた環境でなくても、自分に何ができるか」だと思っています。

まとめ——置かれた場所で咲く

精神科はゆっくり関われるか、という問いへの答えをまとめます。

✓ 思っていたより忙しい現実はある ✓ 精神科の高齢化・介護化は、どの病院にも共通する流れ ✓ それでも一般科急性期より患者さんと関わる時間は確実に多い ✓ 時間は作るもの——声をかけることから始まる関わりがある ✓ あなたのこれまでの経験は必ず活きる

思い通りにならないことは、どこに転職しても起きます。でも、自分の経験を活かしながら、置かれた場所で咲くことはできると思っています。

精神科転職で一番こわいのは、入ってみてからのギャップです。でも、そのギャップは事前にかなり埋められます。転職エージェントを使えば、求人票には載っていない病棟の雰囲気や忙しさ、患者層なども聞くことができます。「どんな患者さんが多いか」「認知症の方はどのくらいいるか」——こういった情報を転職前に知っておくだけで、入職後のギャップはぐっと小さくなります。一人で抱え込まず、まずは相談だけでもしてみてください。

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