転職エージェントは必要か【使わずに転職した看護師が、3年後に後悔していること】


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転職エージェントは必要か?と聞かれたら、私は「使った方がいい」と答えます。ただし、エージェントは万能ではなく、限界もあります。

この記事は、こういう方に向けて書いています。

  • エージェントを使うべきか迷っている方
  • 急性期から精神科への転職を考えている方
  • 自分で求人を探して応募しようとしている方

私はエージェントを使わず、知人からのクチコミだけで精神科へ転職しました。結果的には、うまくやれたのではないかと思っています。それでも「やるだけやった」とは思えず、どこか後悔が残っています。

エージェントなしで転職した私が聞き逃したと後悔していること、給与交渉で確認しそこねたこと。そして、エージェントに聞いても分からないことは何なのかを率直に振り返ってみようと思います。

自分だけで転職活動を進めていくべきか。エージェントを使ってみた方がいいのか。迷っている人が、判断する材料になればうれしいです。

エージェントを使わなかった理由【同期の一言で決めた転職】

急性期で消耗し転職を考えていた時、准看護師学校時代の同期に「うちの精神科、定時で帰れるよ」と言われました。その一言で転職先の候補が決まりました。

情報が欲しかったのですが、病院のホームページは何年も更新されておらず、採用情報の欄には「募集していない」と書かれたままでした。そのため、ハローワークのサイトを探してみると、なんと求人が載っていました。その情報をもとに、その時働いていた職場の条件と比較し、これならいいかなと思いました。そこで自分で病院に電話して、見学と面接のアポイントメントを取りました。

エージェントを使うという発想が、当時の私にはありませんでした。県の看護協会が出している県内の病院紹介のパンフレットを読んで、転職サイトの面接対策ページで質問例を確認して、それで準備したつもりになっていました。

聞けば分かったこと【手当・教育体制・基本給】

面接で聞かれたのは、志望動機と、これまでの経験と、夜勤に入れるかどうか。想定どおりのことばかりでした。

問題はこちらが聞かなかったことで、しかもそのほとんどは、聞いていれば分かったことでした。

手当のこと

前の病院では早出と遅出に手当がついていました。今の病院にはありません。ボーナスの査定に含まれているのかもしれませんが、入職してしまうと聞きにくく、今も確認できていないままです。

教育体制のこと

求人票には「教育体制あり」と書かれていました。

実際にあったのは、A4一枚の振り返り用紙でした。入職から一か月、三か月、半年の三回。私が書いたコメントに、プリセプターと師長が返事を書いてくれます。精神看護のラダーはありませんでした。あとは、ほぼ現場での実地教育です。

プリセプターがついてくれたことは、ありがたかったと思っています。ただ、「教育体制あり」という一行から私が想像していたものとは、だいぶ違いました。

これも聞けばよかったことです。「ラダーはありますか?」「振り返りはどういう形式ですか?何回ありますか?」そう聞けば、もっと教育体制について話をしてもらえたのではないかと思います。

なぜ基本給が下がるのか

面接に給与明細と源泉徴収票を持って行って、前の職場と同じくらいの水準にしてほしい、と伝えました。

「難しい」と言ったのは事務長でした。看護部長は下を向いて、うーん、という顔をしていました。

ただ、その場で事務長が手当を含めて計算してくれました。合計すると手取りはだいたい同じになる。それを聞いて、私は安心しました。

安心して、そこで思考が止まりました。

事務長が計算してくれたのは、入職する年の一年分です。私はその数字を見て納得しました。でも見るべきだったのは、五年後や十年後の数字でした。

転職して三年目になりますが、私の基本給は今も前の職場の新入職員以下です。手取りが同じでも、スタート地点が違えば、時間が経つほど差は開いていきます。ボーナスも基本給から計算されるので、そこにも効いてきます。

昇給額も違いました。前の職場は年に約5,000円、今の職場は約3,000円です。年に2,000円の差ですが、これは毎年積み上がっていきます。低い位置から、遅い速度で昇る。差が縮まることはありません。

聞くべきだったのは「なぜ下がるんですか」ではなかったと思います。病院ごとに給与の基準があるのは当たり前ですし、そう聞いたところで規定ですと言われて終わりでしょう。

聞くべきだったのは、自分の数字がどう決まっているかでした。経験年数を何年として計算しているのか、昇給は年にいくらなのか。それが分かれば、十年後がだいたい見えます。

私はそれを聞かないまま、その場の手取りだけを見て決めました。

ここまで書いたことは、エージェントを通せば聞けたことだと思います。手当の内訳も、教育体制の中身も、経験年数の換算ルールも。第三者が間に入れば、聞きにくいことも聞いてもらえます。

ただし、聞けば全部分かるわけでもありません。私の妻は介護福祉士ですが、エージェントと並行して自分で応募した施設に落ちました。20年以上の経験があり、管理者の経験もあり、準備もして臨んだのに、理由は教えてもらえませんでした。何が足りなかったのか分からないままです。

転職エージェントを使って、結局転職しなかった話

もうひとつ、エージェントを全面的に信用しろとは思っていません。

エージェントは、転職が決まって初めて報酬が発生します。病院側が払う仕組みですから、私たちの負担はありません。でも裏を返せば、転職してもらうことがエージェント側の目的でもあるということです。

担当者によって当たり外れもあるでしょうし、その人が病棟単位の実情まで把握しているとは限りません。合わないと感じたら、遠慮せず担当の変更を申し出ていいと思います。

聞いても分からなかったこと【病棟が違えば別世界】

一方で、聞いても分からなかっただろうと思うこともあります。

同じ病院でも、病棟によって仕事の中身が違う

求人票には「精神科での看護業務全般」と書かれていました。

入職してみると、シーツ交換もおむつ交換も入浴介助も、看護師がやっていました。

え、これ看護師がするの、というのが率直な感想です。介護福祉士として働いていたので、業務そのものに抵抗はありません。ただ、看護業務全般という言葉から想像していたものとは違いました。

理由はあとから分かりました。私のフロアは看護師が多くて介護士が少ない。他の病棟は介護士が多くて看護師が少ない。だから介護業務は介護士がやってくれます。同じ病院の中で、配置が逆になっているのです。

両方増やしてくれよ、とは思います。ただ、これは病院の都合や配置基準の都合なのでしょう。

しんどいのは、時間です。シーツ交換はゆうに三十分はかかります。精神科は患者さんの話を聞くのが仕事だと思っているので、その時間が削られるのはきついです。

私が急性期を離れたのは、患者さんと向き合う時間が欲しかったからでした。それなのに、また時間に追われています。

そしてこれは、面接では分かりません。求人は病院単位で出ているので、エージェントに聞いても、病院全体の職員数しか返ってこないと思います。どのフロアに介護士が何人いるかまでは、外から把握するのは難しいでしょう。

雰囲気にも、人にも、賞味期限がある

同じことが、職場の雰囲気にも言えます。

私のいる病棟は、人間関係のいい職場でした。前の師長は話をよく聞いてくれる人で、慕っているスタッフも多かったと思います。その師長が交代してから、みんながピリピリするようになりました。同じ病棟で、メンバーもほとんど変わっていないのにです。

雰囲気がいい職場です、という情報には賞味期限があります。それは誰かが、ある時点で、ある病棟を見た感想でしかありません。あなたが入職する頃には、もう違う職場になっているかもしれません。

トップの人柄も同じです。私が受けた面接に、院長はいませんでした。最初に勤めた病院は看護部長が数名、今の病院は看護部長と事務長でした。クリニックであれば院長が直接面接することが多いようですが、私自身は経験がありません。規模の小さい職場ほど、トップの器がその職場のすべてを決める。私は個人的にそう思っています。ただ、仮に面接で会えたとしても、一時間話して分かるものではないでしょう。

配属先が異なれば、病棟によって別世界です。病院を見るのではなく、配属される部署を見ることが必要だと思います。

いま面接に戻れるなら聞くこと【10の質問】

転職して三年目になりました。もう一度あの面接の場に戻れるなら、こういうことを聞くと思います。

お金のこと

  • 私の経験年数は何年として計算されていますか
  • 昇給は年にいくらですか
  • 何年目でいくらになりますか

配属先のこと

  • 日勤と夜勤の、看護師と介護士の人数
  • 看護師一人あたりの受け持ち患者数(日勤帯)
  • おむつ交換や入浴介助、清掃や雑務があるか。あるとすればどこまでか
  • 中途採用者の定着率

働き方のこと

  • 委員会や研修は勤務時間内に行われるか。休憩が削られないか
  • 夜勤の回数
  • 夜勤中の休憩をどう取っているか

どれも、当時の私の頭にはなかったことです。三年働いて、ようやく何を聞くべきかが分かりました。

特に上から順に、経験年数の計算、介護士の人数、雑務の範囲。この三つは私が実際に知らないまま入職して、あとから効いてきたところです。時間がなければ、ここだけでも聞いてください。

もちろん、聞いたからといって全部に明確な答えが返ってくるとは限りません。それでも、聞かなければゼロのままです。自分で聞きにくければ、エージェントに聞いてもらう手もあります。私が聞けなかったのは、質問が思いつかなかったからで、聞けない事情があったからではありません。

使わなくても転職はできる。でも次は使う

今の職場の転職活動に関しては、一人でやった割には頑張ったし、結果オーライだったと思っています。でも、聞けなかったことに対しては今でもモヤモヤが残っています。もっとうまくやれたのではないか、と。

転職エージェントを使わなくても転職はできます。私が実際にそうでした。

ただ、私は聞けることを聞かずに終わりました。だから次に転職することがあれば、エージェントを使ってみようと思っています。聞けることは全部聞いて、そのうえで自分の目でも確かめる。それが今のところの結論です。

私が実際に精神科へ転職したプロセスの詳細は、こちらに書いています。

精神科へ転職したプロセス全公開

私は転職のとき、何を聞けばいいのかが分かっていませんでした。だから聞かないまま決めて、三年経った今も、あのとき聞いておけばと思っています。

もし今、転職先を決めかけているなら、聞きにくいことは誰かに聞いてもらう手もあります。

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精神科転職に関する記事は、こちらのページに不安の種類別でまとめています。

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