急性期を辞めたかった。それでも辞められなかった理由【現役精神科看護師の本音】


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急性期で働いていたあの頃、辞めたいと思ったことが何度あったかわからない。

でも辞めなかった。正確に言えば、辞められなかった。

この記事は「辞めたくても辞められない」という場所に今いる看護師へ向けて書いています。

この記事を読むと、こんなことがわかります。

  • 辞めたいと思うのはあなただけではないという事実
  • 辞められない本当の理由(根性論でも甘えでもない)
  • 「辞める勇気がない」と「辞めるための情報がない」は全然違うということ

もし転職を考えているなら、まず情報収集だけでもしてみてください。転職するかどうかは、その後にゆっくり決めればいいと思います。

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看護師の11人に1人が、毎年辞めていく

看護師という仕事は、辞める人が多い職業です。

日本看護協会の調査によると、看護師全体の離職率は年間11.3%(2023年度)。単純計算で、約9人に1人が毎年職場を去っていることになります。新卒だけで見ても8.8%——つまり新卒看護師の約11人に1人が、1年以内に辞めているということです。

あなたが「辞めたい」と思っているなら、それはごく当たり前のことです。むしろ、そう思ったことがない看護師の方が少ないかもしれません。

あなただけじゃない。私もそうでした。

第一期:入職直後「介護に戻った方がいいのかも」

急性期に入職する前、私には約4年のブランクがありました。介護福祉士として働いていたのはその前で、准看・正看と4年間学生をしていた。学生という「ぬるま湯」にどっぷり浸かっていた私が、いきなり命を預かる現場に放り込まれました。

同級生と冗談半分に話していました。「もう学生がいい。働きたくないわ(笑)」

笑えなくなったのは、入職してすぐのことでした。

何もできない。先輩は怖い。毎日「これができていない」と注意を受ける。「私は看護師に向いていないんじゃないか。介護に戻った方がいいのかも」という考えが、何度も頭をよぎりました。

でも言い出せなかった。4年間学校へ行かせてくれた妻のこと。まだ幼い子どものこと。残っている奨学金のこと。それらが頭をよぎるたびに、辞めたいという気持ちを心の中で圧縮して、押しつぶしていました。

第二期:夜勤開始「一人になった途端に急変が起きる」

1年目の夏から秋にかけて、夜勤が始まりました。

最初の数回は先輩がついてくれます。でも4回目からは実質一人立ち。少ない人数で多くの患者さんを見るプレッシャーは、日勤とは比べものになりませんでした。

そして不思議なことに、先輩がついているときは何も起きない。一人になった途端に急変が起きる。

これは急性期あるあるかもしれません。でも当事者には笑えません。ナースコールが鳴るたびに心臓が跳ね上がる。モニターのアラームに体が反射的に反応する。処置をしながら頭の中では『次に何が起きるか』を常に計算している。その緊張が、夜勤明けになっても解けないのです。

インシデントも重なりました。委員会活動も入ってきた。緊張と疲弊が積み重なっていきました。

そしてもう一つ、夜勤が体にじわじわと影響を与え始めました。睡眠リズムが崩れていく。寝ても疲れが取れない。緊張の毎日なのに眠れない夜が続く。その体力面のしんどさが、辞めたいという気持ちをさらに助長していきました。

この時期が、一番「辞めたい」という気持ちが強かったと思います。

バーンアウトのサインについては、こちらの記事でも詳しく書いています。 →看護師が燃え尽きる前に

救われたのは、同期の存在でした。颯爽とこなしているように見えた同期2人が、実は同じように辞めたいと思っていた。3人で話してガス抜きをしました。「同じだったんだ」と思えたことで、なんとか乗り切れました。

第三期:2〜3年目「自分がいっぱいなのに、後輩指導とリーダー業務」

2年目になると後輩が入ってきます。

まだ自分が新人気分なのに、後輩の指導を任される。自分に教えられることがあるのか。自分が教えた直後にベテランから覆される。後輩からの視線が痛い。

リーダー業務も始まりました。チームをまとめ、メンバーからの報告を受け、医師へ報告する。申し送りでは「ただ聞いたことを送るだけでは意味がない。自分のアセスメントを入れなさい」と先輩に言われました。その言葉は今も心に残っています。

いっぱいいっぱい以上の、いっぱいいっぱいでした。

それでも辞められなかった理由、正直に話します

辞めたいという気持ちは、確かにありました。では何が踏みとどまらせたのか。正直に羅列します。

  • 奨学金:返し終わるまでは辞められないという縛り
  • 同僚への罪悪感:人手不足の中で自分が抜けたら迷惑がかかる
  • 妻への申し訳なさ:4年間学校へ行かせてもらった手前
  • 経済的責任:子どもが小さく妻はパート。稼ぎ頭は自分だという意識
  • 「3年続けろ」という空気:石の上にも3年。その無言のプレッシャー
  • 情報不足:転職という言葉は浮かんでも、具体的にどうすればいいかわからなかった
  • 体力不足:転職活動をする体力すら残っていなかった。それだけ疲弊していた

最後の2つが、実は一番大きかったかもしれません。

辞める勇気がなかったのではない。辞めるための情報が足りなかった。転職活動をするための体力が、もう残っていなかった。それだけ消耗していたということです。

今しんどいあなたへ。もしくは「しんどくない」と強がっていたあの時の私へ

あなたは本当によく頑張っています。いえ、むしろよく「頑張りすぎて」います。大丈夫ですか?

でも、私がそのように声をかけても、あなたはきっとこう言うでしょう。

「そうですか?普通ですよ。そんなに無理してないし、しんどくないです。早く先輩みたいにデキる看護師になりたいです。べつに辛くないですから!」

そうですよね。でもあなたは、しんどいと認めると、自分が壊れてしまいかねないから、そう言っているのかもしれません。

今、私は精神科に勤めています。仕事を頑張って、頑張って、つらくても耐えて、そしてバーンアウトして適応障害を発症した患者さんたちは、みんな真面目で正義感が強く、任された仕事は最後までやりきろう、期待に応えよう、みんなのために頑張ろうと、自分の限界を超えて頑張って、どうにもならなくなった人が多いです。

優しくて、思いやりがあって、人が困っているのを見過ごせなくて、責任感が強い人たちです。

だれか似ていませんか?

一つ、正直に伝えます。

たとえ人手不足でも、あなたが退職しても、現場は何とか回っていきます。あなたがいなくなっても、職場は職場で何とかするのです。このことは、あなたも薄々気づいているのではないでしょうか?

一方で、あなたが壊れてしまったら、職場は何かしてくれるでしょうか?

あなたが壊れてしまってからでは、取り返しがつかないこともあります。

転職活動とは実は、ただ仕事や職場を変わるだけでなく、自分が人生の中で何を大切にしているか、どのように生きていきたいか、自分にとって仕事とは何か。そのような、人生の重要な問いに向き合うことかもしれません。

ほかの誰の人生でもない、あなただけの、あなたの一度きりの人生です。

後から振り返って「あの時こうすればよかった」と後悔するのも、それはそれで仕方ない。誰もが、間違いや後悔のない人生を送れているわけではないのだから。

でも、後悔のない決断をするためには、情報が必要です。あの頃の私には、それが圧倒的に不足していました。

結果がどうあれ、自分で悩んで、動いたこと。それ自体があなたの人生の一部です。どんな決断をしたとしても、それに誇りを持っていい。私はそう思っています。

私は当時、転職サイトに登録するだけでも精一杯でした。でも登録したからといって、転職しなければならないわけではありません。今の市場価値や求人を見るだけでも、気持ちが少し楽になることがあります。

転職エージェントの使い方については、こちらの記事が参考になります。 →転職エージェントは必要?使わずに精神科へ転職した看護師の本音

だから、まず情報だけでも集めてみてください。あなたの人生が、より納得のいくものになるよう応援しています。

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まとめ

  • 看護師の離職率は11.3%。辞めたいと思いながら踏みとどまっている人はその何倍もいる
  • 辞めたい時期は一度ではなく、波のように繰り返しやってくる
  • 辞められなかった理由は「勇気がなかった」からではなく「情報と体力が足りなかった」から
  • あなたが辞めても職場は回る。でもあなたが壊れたら、職場は何もしてくれない
  • 転職活動は、自分の人生の問いに向き合うことだ

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